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デザイン経営による戦略。アート的な思考とクリエイターの活用。

これまで多くのビジネスにおいて「アート的な思考は必要ない」と考えられてきました。何故なら「アートとは心を豊かにするために存在するものだ」という位置づけがあり、企業が利益を求めるための営業活動とは一線を画すものだと考えられてきたのです。しかし近年急速に広がっているデザイン経営においては、アート的な思考を持つことが、企業にとって大きなメリットだと考えられるようになりました。

デザイン経営にアート思考を取り入れるメリット

メリット1つ目
まず1つ目は、アート的な思考を持つことによって、型にとらわれない自由な発想ができるからです。現代のビジネスは、さまざまな点で多様化が進んでいます。ユーザーのニーズが多様化していますし、ユーザーが商品を購入する際のきっかけも多様化しています。とにかく低価格でコスパがよく、機能的な商品なら何でも売れるという時代は既に終わり、近年ではユーザーがブランドや商品のコンセプト、ストーリーに共感することが、購入のきっかけとなることが多くなっています。また、企業で働く人の働き方も多様化しており、副業をして複数の仕事を掛け持ちするといった、リモートワークや時短ワークなどの働き方も推進されています。

そうした環境の中では、これまで通りの型にはまった思考では、新しいものを創造することは難しいでしょう。それよりも、フレキシブルで柔軟な発想ができる人の方が、想像力や企画力の点では優れているかもしれません。経営デザインにおいてアート的な思考が求められるのは、そうした創造力の向上が経営デザインに必要だからなのです。

メリット2つ目
アートには起承転結があります。例えばキャンバスに絵を描く際には、最初から仕上がりの色でペイントを載せるわけではありません。まずは何を描きたいかを決定し、全体的な配置やレイアウトをキャンバスの上にデッサンとして表現し、細部までデッサンとして仕上げた上で、絵具を使って色を載せていきます。また、よりイメージに近づけるよう、絵の具を混ぜ何層かに重ね塗りするなど、企画力ともいえるテクニックやスキル、ノウハウを生かすこともできます。そうして仕上げた絵画は、最初のデッサンから作品というアウトプットの形になるまで、一貫したフローに沿って作業が行われています。これが絵画作成における起承転結ともいえるでしょう。

ビジネスにおいても、この起承転結的な発想はとても大切です。企画をする際には、インプットとアウトプットを最初に設定した上で、そのアウトプットを導き出すために必要な戦略を、企画力を使って決めていきます。そして、アウトプットとして完成した後でも、検証や調整などの作業を運用として継続しなければいけません。

メリット3つ目
アート的な思考を取り入れることによって、計画をする際にもA地点からB地点まで行くためのコース選びで、必ずしも最短コースがベストだとは思わなくなるからです。従来のビジネスにおいては、費用対価を重視することで、企業の利益にダイレクトに好影響を与える企画などが好まれ、コスパが良い商品が売れるのだから高品質な商品を低価格で提供することを最重要課題とする事も多かったものです。しかし、アート的な思考をデザイン経営に取り入れると、その方法は長期的に必ずしも企業にとってベストな方法とは言えないという考え方が生まれます。ユーザーの共感を得るために、こんな企画をしたほうが良いとか、競合他社との差別化をアピールしながら、品質に満足してもらえる商品やサービスを提供し、価格面でもユーザーに納得してもらえる価格設定を試行錯誤するなど、幅広いビジネス展開の選択肢があることに気づくでしょう。

このようにデザイン経営にアート的な思考を取り入れることは、新しい発想を生み出すという点では、とても重要です。しかし企業活動はあくまでも利益を出すことなので、企業活動が利益を度外視したアート活動になってしまわないように、注意しなければいけません。

デザイン経営におけるアート思考とデザイン思考

アート思考の要素を取り入れることは大切ですが、デザイン経営はあくまでもデザインの要素を経営に取り入れるという戦略です。アート思考とデザイン思考は、似ているようでも明確な違いがあります。それは、デザイン思考は、課題を解決するという明確な目的を持っていることです。アート思考では、何もないゼロの状態から、そこに解決すべき課題があってもなくても、それには関係なく、自身で決めたアウトプットを目指します。しかしデザイン思考では、目の前にある課題を解決することがアウトプットとなり、そのための解決策を企画力によって創造するのです。つまり、ビジネスにおけるデザイン経営では、デザインというアート的な思考を積極的に取り入れながらも、利益やコストを念頭に入れて課題を解決するための企画案をつくり、目的とするアウトプットの実現を目指すことになります。

アート思考を活用できるビジネスモデルは、多種多様な業種や分野と多岐に渡ります。
どの企業でも、デザイン経営を取り入れることによって高い評価が期待できますが、やはり経営デザインにはクリエイターの活用が効率的かつ効果的です。

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デザイン経営ではクリエイターの存在がカギ

経営という目に見えないものを構築する際に、デザイン的な視点を取り入れながら計画的に構築することは、長期的にブランド力を高め、ユーザーのニーズを満たす商品やサービスの提供につながるなど、たくさんのメリットが期待できます。

経営的なアート思考を取り入れるのは、企業経営者が独自に行うことも可能ですが、専門家からアドバイスを受けながら構築するという方法もあります。近年、この分野で注目されているのが、クリエイターの活用という方法です。

デザイン経営では、多くの分野においてデザインを取り入れた様々な開発を行います。例えば、社内にデザインを担当する部署を設置しておけば、社内向けにデザインを普及することができます。パッケージやロゴ、そしてWebサイトの開発などユーザーへ視覚的に訴えられるVI開発もまた、デザイン経営でクリエイターの活用をする大きなメリットだと言えるでしょう。また、専門家のアドバイスを受けながら構築するという意味では、デザイン経営のスキルや経験が既にあるスペシャリストへ依頼を行い客観的な視点から社内育成をしてもらうなど、デザイン経営に強い企業体制となるよう環境づくりを整えることも大切です。

しかし、どの方法でも、一朝一夕に効果を実感できる訳ではありません。そのため、長期的なスパンで対策を講じることが、経営にアート思考やデザイン思考を取り入れる対策としては、とても重要なカギとなります。社内に適切な部署や人材が見つからない場合には、まずは外部のクリエイター活用からスタートしてみてはいかがでしょうか。少しずつノウハウを持つ人材を社内に蓄積できるような環境づくりや人材開発を進めるのも良いでしょう。

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デザイン経営の分野でクリエイターを活用するメリット

メリット1つ目
クリエイターはデザイン的な視点を持ち合わせているため、開発の上流工程にクリエイターを参入させることによって、企画開発の段階から経営にデザインの要素を盛り込むことができるという点が挙げられます。既に完成している企画に対してクリエイターを介入させても、できることは限られているでしょう。そうではなく、計画を立てる企画の段階からクリエイターの意見を取り入れることによって、よりターゲット層へ訴求できる企画を練ることができます。

メリット2つ目
マーケティング戦略の効果が大きくなるというものです。クリエイターを活用することによって、一つ一つのマーケティング戦略においてデザイン的な要素を取り入れることができます。デザイン的な要素は、どんなターゲット層を予測しているかという点によって大きく異なります。クリエイターがマーケティングに介入することによって、どのプロセスにおいても常にターゲット層を意識することが求められるでしょう。その結果、ブランドや商品の軸がブレることなくターゲット層へより効果的なアピールができます。

メリット3つ目
クリエイターはインプットとアウトプットの関係性を理解しているため、正しい方向でのアウトプットが期待できるという点が挙げられます。クリエイターにおける仕事の多くには、作業の中に起承転結の要素が含まれています。そのため、アート的な思考を持ちながら、どんな作業に対しても、どんなインプットがあり、どんなアウトプットへ導けばよいのかという点を理解しながら仕事を進めてくれます。経営戦略や事業戦略においても、当初の計画から、プロセスを進めるうちに、最初のコンセプトから軸がずれてしまうという事態が起こりやすいものです。しかし上流工程からクリエイターを活用することによって、軸からぶれにくいデザイン経営という力を手に入れることができます。

適切なクリエイターが社内にいない場合には、外部提携するという方法が効率的です。しかし経営における事業やデザインも、一度開発をすればそれで終わりというものではありません。デザイン経営を開発した後には、問題点や改善点を調整しながら運用するという作業が必要です。そのため、長期的なスパンで考えると、外部からのスキルや経験というサポートを受けながら、少しずつアート的な思考やデザイン経営のスキルを身につけ戦略へと役立てましょう。

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まとめ

このように経営デザイナーがいれば、どんなプロジェクトでも企画の段階からクリエイターの意見を取り入れやすくなります。また、運用の面においても、ニーズが発生するたびにブランドや商品の軸がブレるといったことも未然に防ぐことができます。さらに、クリエイターは、企業やブランド、そして商品に対する理解力も高いため、企業が期待するアウトプットを把握しやすいというメリットも期待できます。

これからのデザイン経営に求められるのは「アート的な思考をもった戦略」です。デザイン面とテクノロジー面、そしてビジネス面という複数の方向からバランスよくアプローチすることが大切です。1つ目のデザイン面というのは、デザイナーのように、アート的な思考やデザインに関する高いスキルやノウハウを持っている人。2つ目のテクノロジー面は、今後のマーケティングにおいては欠かすことができないスキルを持つ人材。そして3つ目のビジネス面では、ビジネスに理解のあるクリエイター脳を持つ人材が必要になります。


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