ウィズコロナ時代、アフターコロナ時代、新たな価値創造が求められるなか必要不可欠な戦略として注目されている「ブランド価値創造」に焦点を当てながら中小企業におけるブランド力向上のヒントを “ブランディングレポート” として全8回にわたりお届けします。
“Ame to Tsuchi, Inc. Branding Report”
ブランド価値を高め、より顧客から愛されるためには、アウターブランディングと平行してインナーブランディングも行う必要があります。インナーブランディングとは何なのか、どのような効果があるのか、インナーブランディングの手法や主な事例をわかりやすくお伝えします。
インナーブランディングとは
ブランディングには、アウターブランディングとインナーブランディングの2種類があります。アウターブランディングが顧客や社会へ向けたブランドの価値を伝えるための施策であるのに対し、インナーブランディングは社員へ向けた社内で行うブランディングです。
インナーブランディングの目的は、社員がブランドの価値を理解して共有し、それに沿った意識で行動する基盤を作ることです。そして、サービスや接客をブランドの方向性に合わせるという意図もあります。
アウターブランディングに力を入れれば、確かにブランドが多くの人に知られるようになり、認知度は上がるでしょう。しかし、製品やサービスの質がそれに追い付かなければ、顧客をがっかりさせ、かえって悪いイメージが定着してしまいます。
企業がブランドの価値を高めるためには、アウターブランディングと同時にインナーブランディングにも力を入れ、社員の質を高めることが必要です。インナーブランディングにより社員の意識が変われば、仕事に対する取り組み方や理解、言動が変わります。それは業務の効率改善にもなり、ブランディングを越えた大きな効果をもたらします。
インナーブランディングの目的や効果
インナーブランディングの大きな目的は、社員が経営理念やビジョンを理解することです。会社として進む方向、何を大切にするかを理解することで、社員みんなが同じ考えで仕事ができるため、一致団結できます。
インナーブランディングを行うことで、一体感のある組織となり、みんなが団結しやすくなれば、仕事の質・サービスの質が向上するという効果があります。また、そのような組織は社員にとって居心地が良くなるため、離職率が低下し、良い人材を長く確保できるメリットもあります。
インナーブランディングは正社員だけではなく、契約社員やパート、アルバイト、パートナー企業を含めた、全ての従業員、関係者に行うとより効果的です。
インナーブランディングはアウターブランディングと違い、売り上げに直結するわけではないため、後回しにされ、積極的にインナーブランディングに取り組まない企業もあります。けれどインナーブランディングを行うことで、従業員全体の意識が向上します。
例えば、インナーブランディングが行き届いていないと、従業員が不適切な行動をして批判され、損害が発生する恐れがあります。近年話題になることが多い、アルバイト社員によるSNSへの投稿で炎上するケースは、ブランドの価値を従業員が理解していないことも大きな原因の一つだといえるでしょう。
インナーブランディングに力を入れることは、そうしたリスクを回避し、品質管理がしやすくなるという効果があるのです。
インナーブランディングの手法や事例
インナーブランディングは、どのような手法で行えばいいのでしょうか。インナーブランディングに成功した企業の事例から、手法を学びましょう。
インナーブランディングの成功事例としてよく挙げられるのが、スターバックスです。どの店舗でも平均して気持ちよい接客、高いサービスが受けられるスターバックスでは、人材育成に多額の投資をしています。
マニュアルはなく、従業員がそれぞれ「どうすればお客さまを満足させることができるか」を考え行動する自主性を重んじています。スターバックスは、顧客満足度よりも従業員満足度を重視しているという点も、インナーブランディングの大きな特徴です。
同社には「従業員が満足していない会社ではお客さまを満足させることはできない」という考えがベースにあります。スターバックスでは、従業員を大切にすることで、顧客に高品質なサービスを提供するという流れを作り出しています。
もう一つの成功事例として、2015年の働きがいのある会社ランキング(小規模部門)の1位に輝いた「アクロクエストテクノロジー株式会社」を紹介します。同社の取り組みは、『会社を元気にする51の「仕組み」』(新免玲子著)という書籍で手法が紹介されています。
内容を見てみると、新人が社長や上位社員と一緒にランチを取る昼食会を定期的に実施したり、全社員が参加する会議で、全員が納得するまで話し合ったりなど、どの企業でもすぐに実施できそうな事例が多く、インナーブランディングを行う手法として非常に参考になります。
インナーブランディングは時間がかかるもので、すぐに効果は出ません。数年単位で取り組む気の長い施策となります。けれど、従業員が会社の方向性や理念を理解すれば、それは大きな力となって会社を押し上げていきます。アウターブランディングと同様、インナーブランディングにも力を入れていきましょう。
いかがでしたか?
前編8回、後編8回の全16回2カ月間にわたり「ブランド価値創造」に焦点を当てながら、中小企業におけるブランド力向上のヒントを毎週末お届けしてまいりました。
まずはブランディングの基本を知り、そしてそれを上手に応用しながら「自社ならではの戦略や戦術へと落とし込むこと」が重要です。ブランディングには、様々なお客様の目的にあわせた可変性とその対応力が求められます。
新たな価値創造が求められる時代には、柔軟な変化や思考を変えながらチャレンジしてみることが大切です。
ブランドづくりは、常に進化であり、チャレンジです。
そして、ブランドには「完成形はなく、強いブランドは、育てるもの。」
タネをまき、水をやり、大切に育てなければ、強いブランドは生まれません。
時代が変わろうとしているこの機会だからこそ、
「ブランドの芽が絶えぬよう、戦う勇気、続ける勇気」を少しでも皆様へ届けられるよう、
中小企業をはじめ多くのブランド構築を担ってきた私たちならではの特別配信をしてまいりました。
そして、弊社が蓄積してきたノウハウをより多くの方にお届けすることで、
今まさに新たな一歩を踏み出そうとしている皆様のお力になることができれば幸いです。
最後に、いまも最前線で戦う医療従事者へ敬意を表し、
新型コロナウイルスの1日でも早い終息と皆様のご健康を心からお祈り申し上げます。
コロナ渦の「ブランド再構築やブランドの再定義」など、リ・ブランディングをお考えの皆様。
そして、「業態シフトやブランドシフト」など、新ブランドをお考えの皆様。
緊急事態宣言が解除された後も “新しい生活様式” を踏まえた早期の備えが必要です。
あめとつち株式会社ではブランディングの専門家として、皆様からのご相談を随時受け付けております。
あめとつち株式会社は、ブランディングデザインによる企業成長のサポートをしている会社です。
デザインからマーケティングまで幅広い観点から課題解決を行っておりますので、お困りごとがある際にはぜひ私たちにご相談ください。