ブランドロゴは企業や商品にとっては「顔」とか「シンボル」と言える存在です。ロゴを見た人が、そのブランドを視覚的に簡単にイメージできるような認知をサポートすることが、ブランドロゴの目的です。わたしたち人間は、文字を見た時よりも絵や写真を見た時の方が関心を引きやすいですし、記憶しやすいという性質を持っています。ブランドロゴに文字を使う場合でも、パッと見てすぐに認識できるように少ない文字数におさえるのは、そのためです。もしもユーザーがあるロゴを見ただけで、すぐにどのブランドかが分かれば、そのロゴには強いアピール力やブランディング力があると言えるでしょう。そうした状態を目指すことが、ブランドロゴの目的なのです。
そして、ブランドロゴは、見る人の立場によっていろいろな意味を持っています。例えば、そのブランドを実際に利用するユーザーにとっては、ロゴを見てオシャレだと思ったり、品質が良くてお気に入りのブランドだと共感することでしょう。憧れのブランドとして、ロゴを見るとカッコいいというイメージを持つユーザーもいるのではないでしょうか。また、ロゴを見ることによってブランドイメージを具体的にイメージできたり、ブランドが持つスピリットに共感するユーザーや顧客もいるでしょう。さらに、社会貢献をしているブランドなら、そのブランドを利用していない人でもロゴを見ることによって、「社会貢献しているブランドだな」とイメージしてもらえる可能性も期待できます。このようにブランドロゴは、そのブランドの知名度や認知度が広がればなるほど、たくさんのファンに共感と親近感を与えることができます。そのブランドに関係した経験や思い出がよみがえるなど、多くの人の心の中にブランドのロゴがシッカリ刻まれていきます。広く認知されているブランドがロゴのリニューアルを検討すると、反対派が多くて議論となってしまうのは、ブランドロゴにはユーザー達の愛が詰まっているからなのです。
ブランドロゴの開発はブランドを定義するVI開発の一環
ブランドロゴの開発は、ブランドを定義するVI(ビジュアル・アイデンティティ)開発の一環として行います。VI開発では、ロゴだけでなく、シンボルマークを決めたり、ブランドカラーを決めるなど、主に視覚的なデザインに関する開発を行います。そのため、ブランドロゴだけを完全に独立して開発するのではなく、シンボルマークやブランドカラーと平行して開発を進めることをおすすめします。並行して進めることによって、少ない工数で必要なVI開発を進められるでしょう。そして、このブランドロゴのデザインは「ブランドの世界観を表現するデザイン」である必要があります。あらゆる場所でユーザーの目に触れる存在となるので、ビジュアルアイデンティティを考慮した上で、一貫性、そして統一性を持ったデザインであることが大前提ですので、統一性や一貫性がなければ、ロゴを見たユーザーは、それが同一ブランドだという認識を持たないかもしれません。それでは、ブランドとしてのアピール力が低下してしまいます。ロゴ作成においては、ガイドラインをきちんと決めた上で、統一性、一貫性、そして普遍性や継続性のあるシンプルなデザインにするのがおすすめです。
また、ブランドロゴの開発には、どのようなプロセスがあるのでしょうか。まず最初に、ブランドが持つイメージを言語化する作業からスタートします。ブランドから連想できるイメージ、ブランドが押し出したいイメージを言葉にして、その言葉をデザインとして表現していきます。制作会社へブランドロゴの開発を発注する際には、ブランドのコンセプトや思想を文章として伝えることによって、文字から連想できるイメージをデザインとして表現しやすくなります。そして、2番目のプロセスは「ムードボードの作成」です。この作業では、ブランドのカラーをどんな風に採用するのか、またロゴの色や姿、形を細かくフレームワークとして決定していきます。手書きの雰囲気を出したいのか、それとも幾何学的な形があっているのか、姿や形によって、ロゴがユーザーに与える印象は大きく変わります。いろいろなパターンを比較しながら、複数の審美眼で決めなければいけません。最後に3番目は、ブランドのイメージにピッタリなフォントを見つける作業です。同じ色や形のロゴの上に表示する文字でも、フォントが変われば全体の雰囲気は大きく変わります。もしも社内でブランドロゴ開発を行うなら、できるだけ多くのフォントを試してみて、ロゴの雰囲気を比較しながら、ブランドのイメージにピッタリのフォントを見つけたいものです。
そして全体的にロゴが仕上がってきたら、詳細な部分を調整しながらブランドロゴを完成させます。近年では、Webの特徴を生かした「ダイナミックアイデンティティ(DI)」もロゴ開発で人気があります。これは、ロゴに動きを持たせたデザインで、「Web上で活躍してくれる動的なデザイン」です。全ての媒体に印刷するブランドロゴには使えないものの、Webを中心とした事業展開やマーケティングをする企業なら、取り入れることを検討するのも良いかもしれません。
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