ウィズコロナ時代、アフターコロナ時代、新たな価値創造が求められるなか必要不可欠な戦略として注目されている「ブランド価値創造」に焦点を当てながら中小企業におけるブランド力向上のヒントを “ブランディングレポート” として全8回にわたりお届けします。
“Ame to Tsuchi, Inc. Branding Report”
ブランド戦略を立案した後は「ブランディングツールの開発」と「ブランド運用」という2つのプロセスによって戦略を具体化していきます。ここまで来たら着実かつ大胆な戦略の実行が必要不可欠です。2つのプロセスの内容のほか、ブランド構築の成功事例について解説します。
ブランディングを適切に行うための手順
ブランドを構築するステップは「現状把握」「ブランド定義」「ブランド戦略の立案」「ブランディングツールの開発」「ブランド運用」の5つで、これらのプロセスを通して行われます。
「現状把握」はブランド構築の入り口であり、最も重要なプロセスのひとつです。その理由はメンバー間の目線を合わせることが後々のプロセスにおいて重要になってくるからです。
目線がズレたままでは一貫性、統一性のあるブランドを構築することは難しくなります。現状把握のための具体的な手法は、「PEST分析」や「3C分析」がありますので適宜活用してください。
「ブランド定義」は現状把握で得られたアイデアをもとに、どのようなブランドが適しているのか、または目指したいのか決めていきます。このプロセスにおいて重要なことはブランドという言葉を再確認することです。
ブランドは多数の商品やサービスがあふれるなかでも、ある商品やサービスが特定の企業によって提供されているものだと消費者や顧客に“識別”されている状態のことです。
自社のブランドを定義する際は、この“識別”という観点が重要になります。「ブランド戦略の立案」については「ターゲット選定」「ポジショニング」「SWOT分析」が有用です。ターゲット選定とポジショニング、SWOT分析を行った後にはブランディングにあたり、明確な到達点が見えてくるので、ブランディングのための道筋を定め、取るべき戦略を決めていきましょう。
ブランド戦略を着実に実行するための2つのプロセス
では「ブランディングツールの開発」と「ブランド運用」について考えていきましょう。
「ブランディングツールの開発」とは、ブランドを確立するための具体的な実行手法のことです。戦略からブレイクダウンして手法にまで落とし込むフェーズのことで、ホームページやパンフレット、名刺、看板などがブランディングツールの一例です。
ブランド構築のための予算が限られている中小企業は、ホームページとパンフレットに取り組んでみましょう。ホームページは24時間365日稼働し、見込み客を連れてきてくれるからです。また、ホームページは容易に改変ができることが特徴です。ブランドは継続した取り組みが重要なだけに、ホームページにはぜひ運用していきましょう。
一方のパンフレットは、対人戦において効果的なブランディングツールです。商談や会社紹介などにおいて絶大な威力を発揮します。情報を取捨選択して伝えることで、自社の魅力を要点について、ていねいに表現できることが特徴です。中小企業はホームページとパンフレットから徐々にブランディングツールを広げていくとよいでしょう。
最後の「ブランド運用」は文字通りブランドを運用することです。ブランドは絶えず見直しをして、必要があれば軌道修正を行いながら確立していくものです。ほったらかしにしてしまうと、ブランドが損なわれる恐れがあるなど、悪影響が出てしまうかもしれません。適切な運用なくして、ブランディングはなし得ないということです。
ブランド運用の一例は、従業員の目線を絶えず合わせることです。例えば社内向けのブランドブックやブランドガイドラインの作成などがその施策に該当します。自社のブランドを内部からメンテナンスすることによって、ズレが発生しないように調整をしていくことが大切です。
ブランド構築・運用の成功事例を紹介
最後に、ブランド構築の成功事例を2つ共有しておきましょう。
サントリーが提供している緑茶ブランド「伊右衛門」は、コアターゲットをビジネスパーソンに絞り込み、緑茶の品質を訴求した商品です。
優れているのは、ブランド構築の5つのプロセスにおける「ブランド戦略の立案」です。ターゲットを明確にすることによって、ブランディングツールの最適化を行い、テレビCMを核としたプロモーションを展開し、市場シェアを獲得していきました。
次の成功事例は東京ディズニーランド。東京ディズニーランドは園内で働くスタッフのことをキャストと呼んでいます。キャストは独自の行動基準「SCSE(Safe(安全)、Courtesy(礼儀正しさ)、Show(ショー)、Efficency(効率))」を遵守することを求められます。
東京ディズニーランドの事例は、ブランド構築の最後のプロセスである「ブランド運用」の成功事例です。
「SCSE」は「絶対にやるべきこと」と「絶対にやってはいけないこと」という2軸から構成され、行動基準が極めて明確です。あいまいさを排し、誰が見ても理解できる言葉にまで落とし込んでいます。しかしながら、行動基準を明確に定めつつも無理強いをしていないことが「SCSE」の素晴らしいポイント。キャスト自らが考えて行動する自由さも担保しているわけです。
世の中にはブランド構築に成功したさまざまな事例があります。事例から得た知見をぜひ現場で活用してください。
最後に、いまも最前線で戦う医療従事者への敬意を表し、「ブランドの芽が絶えぬよう、戦う勇気、続ける勇気」を少しでも皆様へ届けられることを願います。
次回、2月6日配信予定の第7回は “ブランド構築に重要なブランディングデザインとは?” をお届けします。
どうぞお楽しみに。
コロナ渦の「ブランド再構築やブランドの再定義」など、リ・ブランディングをお考えの皆様。
そして、「業態シフトやブランドシフト」など、新ブランドをお考えの皆様。
緊急事態宣言が解除された後も “新しい生活様式” を踏まえた早期の備えが必要です。
あめとつち株式会社ではブランディングの専門家として、皆様からのご相談を随時受け付けております。
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