前回までの「続、コロナと戦う、ブランド力」では、ウィズコロナ時代、アフターコロナ時代のブランド力の向上についてお伝えしてきました。そして、今回の特集記事ではそのブランド力を高めるために欠かせないデザインや経営観点からみた「ブランドアプローチ」について、全8回のレポートにまとめています。
今までのやり方や視点にとらわれず、発想の起点を切り替えることで新しい発見が生まれたり、経営の本質的な部分を見つめる良いきっかけにしていただき、皆様の今後のブランド活動にもお役立てください。
“Ame to Tsuchi, Inc. Branding Report”
インターネットの進化、普及により私たちは日常的にインターネットを活用するようになりました。
また私たちの購買行動も、インターネットの普及により大きく変化をしています。SNSや口コミサイトの情報をもとに実店舗で商品を購入する。逆に実店舗で見た商品をネットで検索して最安のECサイトで購入する。このようにネットと現実の世界を行き来しながら最適なものを選択できるようになっています。
そこで、商品を販売する側にとって重要になるのが、デジタルマーケティングです。今回は、デジタルマーケティングの概要から、Webマーケティングとの違い、そして、今後、デジタルマーケティングはどう進化していくかについてお伝えします。
デジタルマーケティングとは
デジタルマーケティングとは、その名が示すとおり、デジタル領域を対象にしたマーケティングです。冒頭で触れたインターネットはもちろん、街なかで見かけるデジタルサイネージ(電子看板)、スマートフォンやタブレットのアプリ、スマート家電、電子マネーなどあらゆるデジタルにかかわるものが対象となります。
また、デジタルマーケティング最大のポイントは、パソコン、モバイル端末、電子マネーなどから得たデータを蓄積し、分析する点にあります。それにより、さらにマーケティングの及ぼす範囲を拡大していくことが可能です。
例えば、デジタルで得たデータをもとにして紙のDMを郵送するといった形でアナログマーケティングへとつなぐこともできます。
従来、データから得られるものといえば、性別、年齢、地域など大きなくくりで、そのなかでおおまかな傾向を知る程度でした。しかし、今ではユーザー一人ひとりの詳細なデータを取得できるようになっています。そのため、上述したようにデジタルマーケティングだからといって、必ずしもデジタルのなかだけでマーケティングを行う必要はありません。そこで得られたデータを使い、ユーザーごとに最適なアプローチをすることが可能になったのです。
よくデジタルマーケティングとWebマーケティングを混同してしまう方がいますが、Webマーケティングは、自社のWebサイトをターゲットユーザーに最適化することで、検索されやすく、利用してもらいやすくするためのものです。
つまり、これもデジタルマーケティングの一部であり、データを分析した結果、Webサイトに誘導することが最適だと判断したユーザーに対して行うのが、Webマーケティングです。
デジタルマーケティングが注目されている背景
デジタルマーケティングが、ここまで大きく注目されるようになった理由はいくつか考えられます。そのなかでも大きいのが、スマートフォンの普及です。
総務省が毎年発表している「情報通信白書」の令和元年版によると、インターネットを利用する端末で最も多いのはスマートフォンで59.5%、パソコンで48.2%です。2016年にスマートフォンがパソコンを抜いてからその差は年々拡大していて、私たちはいつでもどこでもインターネットを利用することが当たり前となりました。
パソコンであれば基本的には常に自宅での利用ですが、スマートフォンであれば、どこで利用しているかといった位置情報も重要なデータになります。また、アプリを使う、SNSで情報発信をするなど、スマートフォンはパソコン以上に多くのデータ取得が可能です。
さらに最近では、スマートフォンにさまざまな電子マネーを登録するユーザーが増加しています。これにより、個人の購買データもより詳細に取得できるようになりました。
このように、スマートフォンの普及が個人データを爆発的に増加させ、それを蓄積、分析した結果を多くの企業が活用し始めたことで、デジタルマーケティングが大きく注目されるようになったのです。
今後のデジタルマーケティング
今後、世の中には今以上にデジタルなものが増加していきます。IoT、AI、ウエアラブルコンピューターなど、私たちの生活のなかにデジタルが入り込み、それが当たり前となっていきます。
世の中がデジタル化することにより、企業は今以上にさまざまなデータを蓄積できるようになり、それを活用したマーケティングもさらに盛んになっていくと予測できます。
しかし、デジタルマーケティングにもいくつかの問題点があります。例えば、現時点では、電子マネーで何かを購入した際、そのデータを取得できるのは販売店だけです。電子マネーの決済事業者には、購入金額しか取得できません。
また販売店も、系列の異なるA店とB店でユーザーが別々のものを購入した場合、それぞれを連携させることはできません。そのため、A店では食品しか購入しない。B店ではお酒しか購入しないといった場合、それぞれの店舗が得られるデータには偏りが生じてしまいます。
今後、取得できるデータは増加するものの、それぞれを連携させることができなければ、データとしては不完全です。それではユーザーごとに最適なアプローチをすることもできません。
そのため、今後のデジタルマーケティングは、それぞれのデータをいかに連携させるかが重要なポイントになります。競合でありつつも企業同士が協力し合うこともなければ、デジタルマーケティングによる便利で豊かな生活も難しいかもしれません。
いかがでしたか?
新たな時代に入ろうとしている今、経営戦略や事業計画を立てる上流工程で、デザイナーやクリエイターをうまく経営に巻き込むことも大切です。
そして、時代環境の変化に応じられる柔軟力や課題解決への力こそ、これからの経営者にとって大事なテーマと言えるでしょう。
最後に、いまも最前線で戦う医療従事者への敬意を表し、「ブランドの芽が絶えぬよう、戦う勇気、続ける勇気」を少しでも皆様へ届けられることを願います。
次回、5月4日の配信では “デジタルを活用したマーケティングの必要性” についてお届けします。
どうぞお楽しみに。
コロナ渦の「ブランド再構築やブランドの再定義」など、リ・ブランディングをお考えの皆様。
そして、「業態シフトやブランドシフト」など、新ブランドをお考えの皆様。
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