企業・ブランドの商品やサービスの認知を訴求するうえで欠かせない“広告”や“販促”の施策ですが、皆さんはその明確な違いを理解して行なっているでしょうか?
いわゆる“広告”に代表される媒体は新聞や電車の駅構内に展開されているポスター、そしてCMなどが多く見られます。
対して“販促”は店頭などでよく見るPOPや、WEBサイトなどに貼ってある“○○%OFF!”などのバナーになります。
上記を比べてみて、一般的なイメージは“広告”は情緒的でなんとなくカッコいいモノ、“販促”は直接的な表現で泥くさいといったイメージが頭に浮かぶ方も多いと思います。
実はこのような「イメージ」はけっこう根深く、“広告”や“販促”の担い手である広告代理店やデザイン会社などにも、ある種の凝り固まったイメージがあるのです。
たとえば、某最大手の広告代理店では“広告”を“Above The Line(アバブザライン)”、“販促”のデザイン・施策を“Below The Line(ビローザライン)”と呼称しており、文字通りそれぞれを線の上と下という意味で「Line」で分けていました。
最近は少しずつその「Line」の考え方に変化があるようですが、ひと昔前は広告代理店の営業職の人間は「“Below The Line”はデザイナーやアートディレクターはやらなくていいよ」ということが常であり、下請けの会社にオペレーションのような発注で“販促”に関する制作をしていました。
当然これでは“販促”は“広告”のオマケのような展開になり、さしたる効果は期待されていませんでした。
しかし近年ではSNSやオンライン動画の急速な普及もあり、“広告”だけでは人々に関心や購買の意欲を訴求できなくなってきたこと、また多様化するメディアに一媒体だけの発信力では補えなくなりました。
そういった時代背景も手伝って「“販促”も重要じゃないか、ほんとうに”買わせる”チカラを持つのは“Below The Line”じゃないのか」という意見が挙がるようになり、販促物にも企画やデザイン費がつぎ込まれるようになってきました。
さらに“Through The Line”という新たな言葉まで登場し、「アバブとビローを一貫させるべきだ」ということも言われるようになりました。
このあたりが近年よく耳にするブランディングという考え方につながってきています。
長々と専門用語を書きましたが、上記のお話は“広告”と“販促”はどっちが重要で優先度が高いのか、ということではなく現代社会の多様化やメディアの移り変わりに沿った「一貫性のある訴求」が大切だということになります。
そもそもの意味として「Above The Line = 将来的に価値を生む費用(capital expenditure)」「Below The Line = 短期的に価値を生む費用(current expenditure)」と定義されているように、それぞれ一長一短で目的とニーズに合わせた複合的な施策展開を行うための方法論に過ぎないのです。
とくに、多くの中小企業では“広告”と“販促”の区別すらも無く、施策を行なっていることもよく見られます。
「目的」と「ニーズ」をしっかりと考えながらマーケティングを意識した企画と施策を行なっていくことで顧客やユーザーの反応も高まり、ブランドの立ち姿が明確になっていきます。
さらに、いままで“販促”に含まれていた「インターネットやデジタルメディア」が、今後は「資産としての意味を持つ広告」となってきました。
そして、「そもそも、本当に“広告”で認知をとって、マスメディア向けにブランドを構築する必要があるのか? 特定のユーザー層だけに向けて発信すればよいのではないのか?」という議論もあります。(実際に、ダイハツのオープンスポーツ軽自動車であるCOPEN(コペン)は「CMなどのマス広告を打たない」と明言しています。)
もちろん、このような考え方がそのまま全商品に適用されることはありえません。(特に、単価が安く薄利多売で稼ぐ「日用品」にはそぐわないと思います)。
しかし、商品・サービスの特性や長所に応じて「“広告”や“販促”の違いを理解」し、必要性を疑うことは大切です。
最も重要なのは企業・ブランドの本質を経営者、スタッフがきちんと理解し、時代やタイミングを見据えた訴求を行なっていくことなのです。
あめとつち株式会社は、ブランディングデザインによる企業成長のサポートをしている会社です。
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