「自社のコーポレートブランディングを行いたい」「社内のミッションとして企業ブランディングが必要だが、進め方が分からない」
この記事を目にしているあなたは、さまざまな事情でコーポレートブランディング(企業ブランディング)やその目的・進め方について興味・関心を持っているのではないでしょうか。
本記事では、曖昧に語られがちな「コーポレートブランディング」の目的とその具体的な進め方を詳しく解説します。
コーポレートブランディングを行う目的
「コーポレートブランディング」とは抽象的な概念です。
そのため、つい「ロゴやホームページをおしゃれにすること」「広告を増やし知名度を高めること」などと誤解されがちです。
それらはたしかにブランディングの一要素ではあるものの、ブランディングの本質ではありません。
コーポレートブランディングの本質は、端的に言うと「その会社が存在する社会的意義や目指す方向、他社との違い・強みを明確に示すこと」です。
そして、それにより「顧客・社員・投資家などのステークホルダーを会社のファンにし、惹きつけ続けること」がコーポレートブランディングの目的なのです。
コーポレートブランディングが成功することにより、以下のようなさまざまな効果が見込めます。
- 顧客の増加、リピート率の向上による売上増加
- 人材採用における競争力強化
- 社員のロイヤリティ向上
- 宣伝コストの削減
- 資金調達コストの削減
こちらの記事では、コーポレートブランドについて詳しく紹介しています。
コーポレートブランディングへの理解を深めたい方はぜひこちらもご覧ください。
【関連記事】企業のブランド価値を高めるコーポレートブランドとは?
コーポレートブランディングの進め方
コーポレートブランディングは、以下のような流れで進めていくことが多いです。
5年、10年先といった中長期的な視点で会社そのもののあり方や目指す方向を明示し、顧客や求職者、投資家といったステークホルダーに自ら選んでもらえるような状態を作り出すことがコーポレートブランディングの目的と言えます。
1.プロジェクトチームの編成
2.チーム内での認識統一
3.コーポレートブランドの現状把握
4.コーポレートアイデンティティの形成
5.ビジュアルアイデンティティの形成
6.ブランドの運用
ステップ①プロジェクトチームの編成
コーポレートブランディングは企業全体に関わり、5年、10年先といった中長期的な視点で会社そのもののあり方や目指す方向を見直す取り組みとなります。
そのため、既存の一部門で対応するのではなく、部門横断的なプロジェクトチームを編成するのが良いでしょう。
チームのメンバーは、以下のような人が望ましいです。
- 全体を俯瞰する力に長けている人
- 長期的な視点を持てる人
- 自社のあり方について問題意識が高い人
- 自ら進め方を模索することのできる主体性の高い人
ステップ②チーム内での認識統一
コーポレートブランディングは毎年行う類の業務ではありません。
そのため、プロジェクトメンバーのコーポレートブランディングに関する知識やノウハウは乏しい状態からのスタートとなることが一般的でしょう。
そのまま進めてしまうと、暗中模索のような状態になり「とりあえずロゴをおしゃれにする」「とりあえず広告を増やす」などといった小手先の施策にとらわれかねません。
そのため、最初はプロジェクトメンバー間でブランディングに関する知識を手に入れ、背景や目的、ゴールに関して認識統一を行う必要があります。
具体的には、勉強会や、外部の講師を招いた講習会などを開催すると良いでしょう。
ステップ③コーポレートブランドの現状把握
その①既存の資料の収集と整理
設立されて数年以上が経った会社であれば、会社案内のパンフレットやアニュアルレポート、経営トップのインタビュー記事、マーケティング調査資料等、さまざまな資料が存在しているでしょう。
それらの既存の資料を収集・整理することで、会社に根差す組織文化や思想、その背景を読み解き、会社の理解に役立てましょう。
その②経営トップへのインタビュー
最高意思決定者である経営トップから全社戦略や会社の未来像を聞き出し、コーポレートブランディングを進める上での方針を得ましょう。
また、全社戦略と未来像について聞き出すとともに、コーポレートブランディングを行う上での制約(会社として許容できる範囲)についても明確にできるとプロジェクトを進める大きな助けになるでしょう。
その③ステークホルダーの調査
コーポレートブランディングを行う際には、外部環境と向き合うことが欠かせません。
「PEST分析」や「3C分析」などのフレームワークを活用しつつ、ブランドを取り巻く外部環境を分析しましょう。
それにより、コーポレートブランドの現状や、ブランドが抱える課題と機会について正しく認識することができます。
その④デザイン関連資料の収集と整理
自社や競合他社の、「広告」「看板」「ホームページ・WEBサイト」などのデザイン関連資料を収集し、整理しましょう。
コーポレートブランディングでは、
- 会社が存在する社会的意義や目指す方向、他社との違い・強みを明確に示すこと
- 顧客・社員・投資家などのステークホルダーを会社のファンにし、惹きつけ続けること
を目指しますが、最終的にはそういった「社会的意義や目指す方向、他社との違い・強み」といった要素をデザインという形で可視化することになります。
そのため、前段階として自社と競合他社の既存のデザインを収集しておき「他社と似たデザインになる」「他社より劣ったデザインになる」といったことを防止する必要があります。
ステップ④コーポレートアイデンティティの形成
次にコーポレートブランディングを形成するフローを解説します。
その①収集した情報の分析
ステップ③で揃った情報を、「社会・顧客・社員・投資家・取引先の視点から見た課題」「社会・顧客・社員・投資家・取引先の視点から見た今後への期待」といった視点を中心に分析しましょう。
その②コーポレートアイデンティティの定義
「その1」で分析を行うことで、自社の強みや真に顧客・社会に提供すべき価値、目指すべき方向などが見えてきます。
会社のあるべき姿や芯となる考え方、文化などを体系的に整理し、コーポレートアイデンティティを策定しましょう。
ステップ⑤ビジュアルアイデンティティの形成
ステップ④で定義した「コーポレートアイデンティティ」を視覚化し、顧客や社員などのステークホルダーにとって分かりやすくしたのがビジュアルアイデンティティです。
整理したコーポレートアイデンティティを元に、「顧客・社員・投資家などのステークホルダーを会社のファンにし、惹きつけ続ける」ための
- 会社名・スローガン
- ロゴマーク
- コーポレートステートメント
などを策定しましょう。
また、名刺や各種広報物などのデザインのルールを策定した「デザインシステム」を策定し、全社に向けてマニュアル化しましょう。
その際、「どうしてこのようなルールなのか」「なぜこのような表現なのか」といった、デザインシステム・ルールの背景や意図も記載しておくことで、のちのちの社内へのコーポレートアイデンティティの浸透に役立ちます。
ステップ⑥ブランドの運用
これまでのステップで策定したコーポレートアイデンティティ・ビジュアルアイデンティティ(=ブランド)を、会社内外へ浸透させるステップです。
コーポレートブランドについて社員一人ひとりに説明し、共通認識を形成しましょう。
会社全体が一丸となり、ブランド普及に努めることができるのが理想です。
また、ブランドは一度策定して終わりではありません。
時代や市場のニーズに対応できているか、定期的にブランドを見直すことも大切です。
本質的なコーポレートブランディングを行おう
いかがでしたでしょうか?
コーポレートブランディングは抽象的な概念であるため、目的や具体的な進め方をイメージするのがなかなか難しかったかもしれませんが、この記事を読んでいただくことで少しでもご理解いただけたかと思います。
本来「ブランド」とは、マーケティングなどの上位に位置する概念であり、ビジネスの方向性を決定する戦略そのものと言えます。
「ロゴをおしゃれにする」「広告を増やす」などの表面的な施策にとらわれずに、本質的なコーポレートブランディングを行うことが大切です。
あめとつち株式会社は、ブランディングデザインによる企業成長のサポートをしている会社です。
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