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【コロナと戦う、ブランド力】その2, 経済産業省・特許庁宣言の「デザイン経営宣言」とは?

【コロナと戦う、ブランド力】その2, 経済産業省・特許庁宣言の「デザイン経営宣言」とは?

前回までの「続、コロナと戦う、ブランド力」では、ウィズコロナ時代、アフターコロナ時代のブランド力の向上についてお伝えしてきました。そして、今回の特集記事ではそのブランド力を高めるために欠かせないデザインや経営観点からみた「ブランドアプローチ」について、全8回のレポートにまとめています。
今までのやり方や視点にとらわれず、発想の起点を切り替えることで新しい発見が生まれたり、経営の本質的な部分を見つめる良いきっかけにしていただき、皆様の今後のブランド活動にもお役立てください。

“Ame to Tsuchi, Inc. Branding Report”

経済産業省と特許庁は共同で2017年7月に有識者からなる「産業競争とデザインを考える研究会」を立ち上げ、議論を重ねていくなかで、2018年5月、「『デザイン経営』宣言」を取りまとめました。

「デザイン」と「経営」というと、一見、直接的な関係はないと思われるかもしれません。しかし、実際には経営にデザインの視点を取り入れることは、今後の企業の在り方として非常に重要なポイントとなりうるものです。

そもそもデザイン経営とはどういったものなのか、デザイン経営が注目される背景、取り入れることのメリットなどについてお伝えします。

デザイン経営宣言とは

経済産業省と特許庁が公開した「『デザイン経営』宣言」によると、デザイン経営とは、デザインの力をブランド構築やイノベーションの創出に活用する経営手法だとしています。

具体的には、人を中心として考えることで、根本的な課題を発見。その課題に対し、従来の発想にとらわれないようにしつつも、実現可能な解決策を、柔軟に反復、改善を重ねながら生み出すものです。

そして、経済産業省と特許庁では、実際にデザイン経営を行っていくための取り組みとして、次の7つの具体策を示しています。

(1)デザインを企業戦略の中核に関連付けるため、デザイン責任者(CDO、CCO、CXO等)を経営チームに参画させ、デザインについて経営メンバーとコミュニケーションを密にする。
(2)デザイナーが、事業戦略、製品、サービス開発の最上流から参画する。
(3)「デザイン経営」を推進する組織を企業の重要な位置に設置。社内横断でデザインを実施する。
(4)デザイン(観察)手法を取り入れ、顧客の洗剤ニーズを発見する。
(5)アジャイル型開発プロセス(観察・仮説構築・試作・再仮設構築の反復)により、質とスピードの両方を取る。
(6)デザイン人材の採用強化を行う。またそれに併せ、ビジネス人材やテクノロジー人材に対し、デザイン手法の教育を実施し、デザインマインドの向上を図る。
(7)指標作成が難しいとされるデザインについても、観察可能で長期的な企業価値向上を目指し、デザインとプロセスの指標策定を試みる。

デザイン経営が注目される背景や必要性

多くの業種で市場が成熟しているうえ、製品、サービスのコモディティ化(市場価値が低下し一般化すること)が進む現在の日本。そのなかで企業の競争力を向上させるには、従来の経営手法では難しくなっています。

従来、日本の製品やサービスで最も重視されてきたのはデザインではなく機能性であり、それが海外企業との競争で後手に回ってしまった一因とも言われています。そこで、ここから脱却し、これまでにない革新的なイノベーション(技術革新)を起こす手段として、デザイン経営が注目を集めているのです。

ただし、ここで勘違いしてはいけないのが、デザイン優先で機能性は度外視しても構わないわけではない点です。前項のデザイン経営の定義のなかで、「人を中心として考える」とあるように、人が気持ちよく使えることが大前提となります。そして、そのための手段としてデザインを考えるということです。

実際、世界的に成功を収めている海外企業のなかには、デザインと開発を切り分けずに取り扱うことを設計プロセスの思想として持っているケースも少なくありません。

デザインを根本においたクリエイティブをもとに、エンジニアがプロトタイプ(試作品・模型など)を設計し、検証、発見、再度設計を繰り返すことで、革新的な製品を世に送り出しています。

これもあくまでも、クリエイティブの軸がデザインであるということであり、クリエイティブ自体をないがしろにするということではありません。

デザイン経営を進めることによるメリットと効果

デザイン経営を実践することで得られるメリットは数多くありますが、そのなかでも主なものを紹介します。

【企業イメージの向上】
デザインだけが良く、使い勝手が悪い製品では意味がありませんが、人々が快適に利用するためのデザインを追求した製品は、それだけで高い価値があり、競合との差別化要因となります。
その結果、デザイン性が高く快適で使い心地の製品をつくる企業として、企業イメージは大きく向上します。

【利益の向上が見込める】
欧米で早くからデザインに投資する企業が、どれだけのパフォーマンスを発揮できるかの研究が行われています。
そこで出た結果によると、デザイン投資に対する営業利益は4倍。デザインを重視している企業の株価は10年間で2.1倍の成長など、デザイン経営が企業イメージだけではなく、高い利益を上げていることがわかっています。

【消費者に寄り添った製品開発が可能になる】
デザイン経営で製品開発を行うには、何度も消費者のニーズ分析、調査を繰り返し、人々が快適で心地よい生活を送るための製品をデザインします。
そのため、売り手側の論理だけで製品をつくってしまうことがなくなり、常に消費者の体温を感じながら製品開発を行えるようになります。

企業にとってさまざまな効果をもたらすデザイン経営。しかし、従来のやり方を急激に変えることは決して簡単ではありません。現在の経営手法に疑問を持ちつつも、変革を実践することが難しいと感じているのであれば、専門家に相談することをおすすめします。

いかがでしたか?このデザイナーのような感性や革新的な発想は誰もが持ち合わせているわけではありません。
新たな時代に入ろうとしているいま、経営戦略や事業計画を立てる上流工程で、デザイナーやクリエイターをうまく経営に巻き込むことも大切です。
そして、「時代環境の変化に応じられる柔軟力や課題解決への力」こそ、これからの経営者にとって大事なテーマと言えるでしょう。ぜひ皆様もこの機会にデザインの視点を取り入れてみてはいかがでしょうか。


最後に、いまも最前線で戦う医療従事者への敬意を表し、「ブランドの芽が絶えぬよう、戦う勇気、続ける勇気」を少しでも皆様へ届けられることを願います。

次回、5月2日配信の記事では “デザイン経営によるブランド力とイノベーション力の向上” についてお届けします。
どうぞお楽しみに。

コロナ渦のブランド再構築や再定義など「リ・ブランディング」をお考えの皆様。
そして、業態シフトやブランドシフトなど、「新ブランド」をお考えの皆様。
緊急事態宣言が解除された後も “新しい生活様式” を踏まえた備えが必要です。
私たち、あめとつち株式会社はブランディングの専門家として、
事業規模やご予算など、皆様のご要望に合わせたご相談も随時受け付けております。


Ame to Tsuchi, Inc. お問い合わせ Ame to Tsuchi, Inc. ブランディングプラン

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