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【コロナと戦う、ブランド力】その1, デザイン経営とは?デザイン経営の意味や実践方法

コロナと戦う、ブランド力/ その1,デザイン経営とは?デザイン経営の意味や実践方法

前回の「続、コロナと戦う、ブランド力」では、ウィズコロナ時代、アフターコロナ時代のブランド力向上についてお伝えさせていただきました。そして、今回の特集記事では、そのブランド力を高めるために欠かせないデザインや経営観点からみた「ブランドアプローチ」について、全8回のレポートにまとめています。
今までのやり方や視点にとらわれず、発想の起点を切り替えることで新しい発見が生まれたり、経営の本質的な部分を見つめる良いきっかけにしていただき、皆様の今後のブランド活動にもお役立てください。

“Ame to Tsuchi, Inc. Branding Report”

「デザイン経営」は、2018年に経済産業省と特許庁が発表した報告書「デザイン経営宣言」によって知られるようになりました。

経営の上流にデザイナー(デザイン責任者)を配し、デザインの力を有効な経営手段とするものです。導入事例も増えつつありますが、従来の経営手法と異なる斬新な手法であるため、十分な理解が行き届いているとは言えないのが現状です。「デザイン経営」についてご説明します。

デザイン経営とは

「デザイン経営」という言葉は、2018年に経済産業省と特許庁が「デザイン経営宣言」という報告書を発表してから広く知られるようになりました。デザインの力を経営に生かすことで、ブランド力の向上、イノベーション(技術革新)力の向上を図り、それによって企業の競争力向上を図る経営手法を言います。

しかし、「デザイン」は、一般的にモノを美しく見せる「意匠」という意味で使われることが多く、「経営」とどう結びつくのか疑問を持たれる方も多いかもしれません。

報告書の別冊「デザイン経営の先行事例」に紹介されている事例をいくつか見てみましょう。「デザイン経営」の具体的なイメージをつかむことができると思います。

例えば「企業としてどのようなビジネスに取り組んでいくかという構想の段階からデザイナーが入る」。これは日本電気(NEC)の事例です。

「製品開発にデザイナーが企画段階から携わり、エンジニアと協働することで、エンドユーザーの視点を取り入れることに成功している」。これはソニーの事例です。

「従来の開発プロセスでは、家電としてもイノベーションが生まれてこない。開発のより源流でデザインも商品企画も一体となり進めるようになってきている」。これはパナソニックの事例です。

「デザイン経営」とは、デザインの役割をプロダクトやグラフィックといった枠に収めず、企業経営に大きく関わる存在と捉え、経営の上流にデザイナー(デザイン責任者)を配し、デザインの視点を有効な経営手段とする手法なのです。

デザイン経営の定義や考え方

「デザイン経営」は「デザインの力をブランドの構築やイノベーションの創出に活用する経営手法です。その本質は、人(ユーザー)を中心に考えることで、根本的な課題を発見し、これまでの発想にとらわれない、それでいて実現可能な解決策を、柔軟に反復・改善を繰り返しながら生み出すことです」と定義されています。

ここで重要なことは「その本質は、人(ユーザー)を中心に考える」という点です。

1980年代、日本企業の製品はその技術的な高さで世界を席巻しました。しかし、現在、技術的な高さだけで優位性を確保することはできません。企業が提供する製品やサービスの価値は、ユーザーがどう思うか、ユーザーがどう体験するかにかかっているからです。そこで大切になるのがデザインの視点なのです。

Appleやダイソンの製品の優秀さは誰もが知っています。その背景には、製品の開発にあたって徹底してエンドユーザーの目線に立つという姿勢があります。一般に経営資源は「ヒト、モノ、カネ」と言われますが、デザインも重要な経営資源と捉えられているのです。

「デザイン経営宣言」においても、「革新的な技術を開発するだけでイノベーションが起きるのではなく、社会のニーズを利用者視点で見極め、新しい価値に結び付けること、すなわちデザインが介在してはじめてイノベーションが実現する」としています。

「利用者視点で見極めること」、つまり「人(ユーザー)を中心に考えること」が強調され、そのためにデザインの力が必要になるのです。

デザイン経営の取り組み方

「デザイン経営宣言」では、デザイン経営と呼ぶための必要条件として、次の2点を挙げています。

(1)経営チームにデザイン責任者がいること
(2)事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること

ここで言われているデザイン責任者とは「製品・サービス・事業が顧客起点で考えられているかどうか、またはブランド形成に資するものであるかどうかを判断し、必要な業務プロセスの変更を具体的に構想するスキルを持つ者」とされています。

そして、具体的な取り組み方について、次の7項目を挙げています。
(1)デザイン責任者(CDO、CCO、CXOなど)の経営チームへの参画
(2)事業戦略・製品・サービス開発の最上流からデザインが参画
(3)「デザイン経営」の推進組織の設置
(4)デザイン手法による顧客の潜在ニーズの発見
(5)アジャイル型開発プロセスの実施
(6)採用および人材の育成
(7)デザインの結果指標・プロセス指標の設計を工夫

なかでも「(1)デザイン責任者の経営チームへの参画」と「(2)事業戦略・製品・サービス開発の最上流からデザインが参画」は、必須条件です。

「(5)アジャイル型開発プロセスの実施」のアジャイル(Agile)には、「素早い」「機敏な」という意味があり、システムやソフトウェアの開発手法です。
小単位で「実装→テスト」を繰り返していく手法で、「デザイン経営」の定義にある「柔軟に反復・改善を繰り返しながら生み出すこと」を指しています。

いま企業は、人(ユーザー)が何を求め、あるいは何に困っているかなどを企業の目線ではなく、人(ユーザー)目線で考え、自社の製品やサービスを選択してもらわなければなりません。そのために必要になるのがデザインの力であり、デザインの力を経営に生かす「デザイン経営」なのです。

いかがでしたか?このデザイナーのような感性や革新的な発想は誰もが持ち合わせているわけではありません。
新たな時代に入ろうとしている今、経営戦略や事業計画を立てる上流工程で、デザイナーやクリエイターをうまく経営に巻き込むことも大切です。
そして、「時代環境の変化に応じられる柔軟力」や「課題解決への力」こそ、これからの経営者にとって大事なテーマと言えるでしょう。


最後に、いまも最前線で戦う医療従事者への敬意を表し、「ブランドの芽が絶えぬよう、戦う勇気、続ける勇気」を少しでも皆様へ届けられることを願います。

次回、5月1日配信の記事では “経済産業省・特許庁宣言の「デザイン経営宣言」とは?” についてお届けします。
どうぞお楽しみに。

コロナ渦の「ブランド再構築やブランドの再定義」など、リ・ブランディングをお考えの皆様。
そして、「業態シフトやブランドシフト」など、新ブランドをお考えの皆様。
緊急事態宣言が解除された後も “新しい生活様式” を踏まえた早期の備えが必要です。
あめとつち株式会社ではブランディングの専門家として、皆様からのご相談を随時受け付けております。


Ame to Tsuchi, Inc. お問い合わせ Ame to Tsuchi, Inc. ブランディングプラン

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